KANSAI UNIVERSITY

INTERVIEW | 私は、こんな人。 /04

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いかに“ウケる”かを考えて、
授業を面白く。

 田尻ゼミ の研究室の書棚には、英語の教科書や教育に関する文献がぎっしり。そして、イラストや英単語が書かれたカード、生徒たちから贈られた教授の似顔絵入りの色紙などが賑やかに飾られている。
「授業でいちばん大事なのは、教材です。いい教材があれば子どもは自主的に学ぶからです。このカードも私の手作りで、カルタになっていますが、遊ぶ中でルールに気がつくよう仕向けてあります」
 英語の歌、写真、団扇などを採り入れる田尻教授の授業は、とにかくユニークで楽しい。その基本は、教授いわく、いかに “ウケる”か。小学生の時に、人を笑わせる喜びを知って以来、どうすれば “ウケる”かを常に考えるようになったという。かつて田尻教授が中学校で教鞭を執っていた頃は、全国的に校内暴力の嵐が吹き荒れていた時代。生徒たちに勉強への興味を抱かせるために、授業を面白くする重要性を痛感していたそうだ。
「当時も今も、私は野球部の顧問をしています。部員たちは、野球を面白いと思ったり、伸びていると感じれば、家に帰ってもバットを振ります。英語も同じで、授業で英語を面白いと思えば、家に帰っても自主的に学ぶようになる。自ら学びたいと思い、学習することで学力向上が望めます。だからこそ、授業は面白くないとダメなんです」
 田尻教授は、独自の英語教育法が注目を集めるようになり、「ニューズウィーク(日本版)」で世界のカリスマ教師の一人として紹介された。さらに、日本の外国語教育界の最高の栄誉である「パーマー賞」も受賞。知的で楽しく、夢中になって練習するうちに身につくという指導法を確立し、名実ともに英語教育の第一人者となったのだ。

優れた教員を養成すれば、
優れた授業がひろがる。

 田尻教授は、共通教養科目である英語の授業の他に、教員志望の学生を対象として、英語教育や英語指導法について教えている。中学校教諭から大学教員へ転身するきっかけは、あるドイツ人教授の一言に衝撃を受けたからだという。子どもの自主性を重んじるシュタイナー教育の権威でもあった彼が、田尻教授の授業を見学して告げたのは、意外にも「あなたはすぐに教諭を辞めなさい」という言葉だった。
「いま、あなたの授業を受け、恩恵に預かれるのは、150人程度の生徒しかいません。あなたが大学で教員を育てれば、何万人もの生徒が恩恵を受けられるのです」
 中学校教諭として自らの使命を全うしようと考えていた田尻教授だったが、彼との出会いが転機となり、これまでの経験を活かし、教員を養成できる大学教員となることを決意した。
「私たち教員の仕事は、学生の好きなことを増やすこと。学生たちの仕事は、すぐに諦めずにできるまで努力することです。それを分からせるためにも、私の研究室では教員志望の学生たちに妥協はしません」
 田尻教授いわく、「面白いけど、厳しい」のが彼の英語教育だ。
「野球に例えるなら、才能がある子だけを育てるのではなく、できない子にも必死でアドバイスをして、どの選手も平等に育てることが大事。学生たち一人ひとりを鍛え抜くのが学校の役割だと考えます」

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