KANSAI UNIVERSITY

INTERVIEW | 私は、こんな人。 /25

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関西大学の研究資源を活かして、人と地域を繋げていく。

 関西大学創立130周年を機に新設された「なにわ大阪研究センター」のセンター長を務める与謝野教授は、なにわ・大阪の文化をプラットフォームとして、人と地域を繋げていく研究活動に取り組んでいる。
 関西国際空港とコラボレーションした関西大学創立130周年記念イベントでは、超高精細画像を利用した4mもの巨大な日本刀を作成し、その画像を背景に撮影できるフォトスポットや、平家物語絵巻に描かれるなにわの世界をバーチャル体験できるギャラリー、大阪天満宮で復活させた地下水“天満天神の水”を使った昆布出汁のウェルカムドリンク提供など多彩なコンテンツを企画。国内外からの大阪訪問者に大阪の魅力を発信していく。
「文化が人をつなぐプラットフォームになる。世代や性別、国籍も超えていろんな人が混じり合うことで、社会や経済の問題も解決していきたい。また、東京一極集中ではなく、大阪、四国、中国をそれぞれ活性化し、日本の入り口にしたいのです。そのために、関西大学がもつ研究資源を最大限に活かしていきます」
 実際にこの企画には、関西大学、関西国際空港のほか、日立製作所、岡山県の林原美術館、天神橋筋商店街、大阪天満宮、エコール 辻 大阪(辻調グループ)※など様々な協力のもと、多くの人が関わり、多くの資源が活きている。
 与謝野教授が進めるのは、人と人を繋げて信頼関係を生み出すシステム “ポジティブネットワーク”を街に築くこと。
「我々は “PONET”と呼びますが、例えばAさん、Bさん、僕の3者と取引がある場合、片方の取引が増えると、もう片方とは疎遠になると通常は考えられます。けれども、双方の持つ資源を合わせて初めて良いものが生まれる時、AさんもBさんの取引も増えるのです。大切なのは、どんな人、資源をマッチングさせるか。いま、年間に300から400人の方と名刺交換をしますが、ある問題を解決するためにどんな人を繋げるか、その人が信頼できる人か、コンピューター上で自動的に組み合わせるシステムなども開発すべく研究中です」

※“エコール 辻 大阪(辻調グループ)”の辻は一点しんにょう

社会学も、実践すれば問題を解決できる。

 大学時代は、職業、収入、学歴、財産、権力など、人が持つ資源の違いによってどのような差が生まれるかを学ぶ社会階層論を専門とし、数理モデルを用いて研究。現在はさらに、人の関係や信頼の深さも資源と考える、社会関係資本(ソーシャルキャピタル)も加えて、格差と信頼感、自殺、犯罪などの関連性を探求している。
「日本全国で県単位の自殺率と信頼感の関連性を調査し、信頼感の高い県では自殺率は低いという結果が分かりました。不平等は健康を損ない、信頼は寿命の長さまで変えるのです」
 学生時代から、数理だけではなく社会の問題を実践で解決したいと考えていた与謝野教授。現在は、違法駐輪の排除実験、被災地の雇用支援など、社会をよくするための研究活動に取り組み、成果も生まれている。
「大阪市営地下鉄 南森町駅の出口付近は、違法駐輪のメッカでした。この問題は20年以上も解決できず、商店街の方々もすぐに排除できるとは思っていなかったんです。大阪市北区、銀行、商店街、街のデザイナーなどが手を貸してくださって、工芸品の展示や花を飾り憩いの場に転換することで、ほとんどお金をかけずに解決できました」
 これらの研究にはどれも必ず学生が絡んでおり、彼らの協力が不可欠だと教授は語る。
「僕が教育するというより、逆に僕の方が学生から教わることが多いんです。道はまだまだ途中ですが、社会学の計量分析、実験、フィールドワークのすべてを実行すれば、社会問題が解けることを、少しは示せたのではないでしょうか」
 教授の夢は、会社をつくり利益を大学に還元することで研究を充実させ、皆がプラスになる社会へとその動きを加速させること。
「僕がいま最も解決したいのは、限界集落の問題。高知県をはじめ日本の各地域にはもの凄い数の廃校があります。そんな過疎化が進む地域で事業を起こせるようマッチングし、若い人を地域にどんどん増やしていきたいです」

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